「テラヘルツ波」で高速無線通信


 2月4日、独立行政法人情報通信研究機構(NICT)の公開実験を見学に行きました。その記事は今月末発売のMac Fanに掲載されますが、イザ!に「遠隔手術に期待…テラヘルツ波で鮮明映像、時差なし」という記事が公開されていましたので、それを引きつつ実験を見た感想などを。
 実験は、東京・小金井会場と京都会場を同時中継する形で実施されました。内容はテラヘルツ波の実験というよりも、テラヘルツ波が(約1時間半という)長尺の映像転送に耐えられるか、手術というミッションクリティカルな用途に応えうる信頼性があるのか、ということでした。実際にテラヘルツ波が使用されたのは、150mほど離れたKDDI大手町とNTTコム大手町のビル間のみ、実験の間は特に設定を変えるようなこともなかったので、傍観者としては「滞りなく終わった」というのが正直な感想です。
 遠隔医療の実験、という点では興味深い内容でした。3D画像データを配信し、それを見ながら3D内視鏡ロボット「ダビンチ」でブタの内蔵を縫合する実験などは、特に。医療関係者であれば、より一層感じるところがあったのでしょう。
 IT方面の書き手としては、雨とか霧とかの影響はどうかとか、ネットワークのストレステストとか、テラヘルツ波を伝送するパラボラアンテナ(と呼んでいいのかどうか)の角度のズレをどの程度まで許容するかとか、ネットワーク技術方面の実験に関心がありますが。今回の実験は趣旨が違いますから、またの機会に致しましょう。